・はじめに
近年、切削・加工・組み立て・把持などの作業を行う対象物の微小化が進んでいる。どの分野でも、取り扱う対象物が今までと比較して非常に小さいため、研究などを進めるにあたり肉眼で確認することは難しくなってきている。そのため、観察技術としては光学式顕微鏡を代表に、走査形電子顕微鏡(SEM)や走査トンネル顕微鏡(STM)、原子間力顕微鏡(AFM)などが存在している。
・目的
本研究では、接合技術の一つである、接着による組み立て技術の確立を目指す。目的としては、マイクロメーター内の範囲に、吐出目標として直径1.6μmの液滴で1fl(1×10-15l)を吐出できる機構の確立を目指す。そこで、この目的を果たす新たな吐出装置の設計・開発を行う事とする。
・原理
超音波振動を液中にあて、その超音波振動が強力になると音の放射圧が高まり、それが液柱を発生させ、その周辺を境界として表面にキャピラリー波が発生する。このキャピラリー波により液体の衝突や引きちぎり合うエネルギーが生まれ、液体の表面張力に打ち勝って、液体を微粒子化して空中に飛散させる超音波霧化の原理を利用している。
図 超音波霧化の原理
・今年度の研究目標
昨年度までの研究で、目標としていた直径1.6μmの液滴で1fl(1×10-15l)を吐出することは出来た。しかし、吐出された液滴の数は非常に多く中には直径20μmを超える液滴も吐出されてしまった。今年度は、直径1.6μmの液滴で1fl(1×10-15l)以下の一滴を吐出させる機構の開発を行う。