奨励研究

研究室の研究テーマに関連して、社団法人情報サービス産業協会「 高度情報技術指向企業クラブ」による研究資金のご支援により以下のような研究を並行して行っている。


 MicrosoftのActiveXやOLEに見られるようなコントロールオブジェクトの再利用が普及し、CORBA(The Common Object Request Broker Architecuture)による分散オブジェクトの相互利用が標準化されると、ネットワークを介したソフトウェアコンポーネントの利用が益々一般的になるものと予想される。
 この研究はコンポーネントをあたかも生き物と同じように捉え、コンポーネントが集団として機能を発揮するプロセスを最適化する研究である。このような技術を如何に早く確立するかは、情報サービス企業にとっても大きなテーマと考える。


◆ 研究テーマ: 協調オブジェクト機構, およびその適用分野に関する研究

 インターネットを活用した今後のソフトウェアは,オブジェクト指向概念のような一方向のメッセージ送信でなく, 状態を監視するオブジェクトからの通知を機構としてもつようなアーキテクチャを基盤に開発することになろう(例えば,オークション形式の商品受注や決済処理は,このようなアーキテクチャが適用できる典型である).このような認識のもとに以下の研究を行っている.

(a) 協調オブジェクト機構の設計と試作

 オブジェクト指向概念の欠点であるメッセージ送信の双方向性と非決定的なメソッド起動を改良した協調オブジェクト機構の設計と試作.

(b) 設計プロセス自動化の評価実験

 経験と訓練を要するソフトウェア設計プロセスを協調オブジェクトによる協調動作としてモデル化し,設計プロセスを自動化するための適用評価実験.


奨励研究の成果報告

2000年度HITOCCの支援金を研究資金の一部として生かした成果,情報サービス業界への成果発表,
および主な使途は以下のとおりです.

◆ 研究の成果

  • [1] Mikio Ohki, Shinjiro Akiyama ,Yasushi Kambayashi,“A Verification of Class Structure Evolution Model and Its Parameters,”IPSJ SIGSE ,ACM SIGSOFT, Fifth International Workshop on Principles of Software Evolution ,Proc.of IWPSE2002,pp.52-56(2002)

  • [2] 大木幹雄,“場の量子化によるクラス構造パターン生成の定式化,”電子情報通信学会 信学技報KBSE2001-50 Vol.101 No.601 pp.9-16(2002)

  • [3] 大木幹雄,秋山構平,“概念モデリングにおける判断基準の提案とその有効性評価,”電子情報通信学会論文誌VOL.J84-D-T No.6 pp.723-735(2001)

  • [4] 大木幹雄,“ボトムアップなMVCアーキテクチャモデルの概念的な構成方法に関する考察,”電子情報通信学会 信学技報 KBSE2000-41 Vol.100 No.440(2000), 情報処理学会  ソフトウェア工学研究会 情処研報Vol.2000 No.104 pp.57-63(2000)

  • [5] 大木幹雄,秋山構平,“多重継承を含むクラス自動抽出機構の検証,”電子情報通信学会 信学技報 KBSE2000-5 Vol.100 No.90 pp.25-30(2000)


◆ 学会および情報サービス産業界への成果発表

  • 電子情報通信学会知能ソフトウェア工学研究会,および情報処理学会ソフトウェア工学研究会での発表

  • 研究報告「協調オブジェクトの実体関連分析設計問題への適用」平成11年11月5日 タイム24 JISAプレゼンテーションルーム


◆ 支援金の主な使途

  支援金の使途は以下のとおりです.
  1. 国際会議出席旅費として一部充当  
  2. 院生・学部生の研究発表旅費として一部補充  
  3. 学会研究会出席旅費として一部補充
  4. 研究資料購入(論文複写費,市販パッケージソフト購入費)として一部補充  
  5. 業界専門家のゼミ・研究会への招聘費用,および会議費  
  6. 次年度への留保金

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