ソフトウェア工学研究室内の風景と研究に対する考え方を紹介します
実験室センターテーブル上の小緑 研究室入口の大緑
ソフトウェア工学の研究に対する考え方
【 ソフトウェア工学研究に対する基本な理念 】
ソフトウェア工学は他の工学と同様に,経験に基づく実践的な学問です.すなわち,ソフトウェア開発技術者やIT技術を活用した戦略情報システムを開発する開発現場の技術者にとって,役に立つ技術を追求する学問です.
そのため,当研究室では,学会のみならずソフトウェア開発企業と常に協力しながら, 最新の技術とその動向を追跡し,『10年以内に実社会で必ず役に立つ』 ソフトウェアの基礎技術開発に関する研究を行っています.
【 実社会で活躍する研究室先輩の足跡 】
- [1] 三角勝【2004年度卒業】,内藤貴之【2004年度卒業】,大木幹雄,“アジャイルプロジェクトにおけるオブサーバ型工程管理の有効性評価 - The Effectiveness of Observer based Process Management in an Agile Project-,” 電子情報通信学会 信学技報Vol.103 No.709 KBSE2003-56 pp.61-66 (2004)
- [2] 三角勝【2004年度卒業】,内藤貴之【2004年度卒業】,大木幹雄,“軽量プロジェクト管理ツールP1における手戻り制御の実現と効果の実証,”【pdf】情処学会第66回全国大会1Q-7 《学生奨励賞受賞》(2004)
- [3] Ohki Mikio,Hosaka Yasuo【2003年度卒業】,“A Program Visualization Tool for Program Comprehension,”【pdf】 Proc.of 2003 IEEE Symposium on Human Centric Computing Languages and Environments,pp.263-265 (2003)
- [4] 安恒寛則【2002年度卒業】,高木陽平【2002年度卒業】,大木幹雄,“手戻り制御とプロセスの動的生成を可能にした作業管理ツール,”【pdf】情処学会第65回全国大会2Z-5 (2003)
- [5] 長谷川智和【2002年度卒業】,澤田敬太【2002年度卒業】,大木幹雄,“メソッドと変数間結合力の可視化によるリファクタリング支援,”【pdf】情処学会第65回全国大会4Y-5 (2003)
- [6] 大木幹雄,吉渡紘宣【2001年度卒業】,青木収,片山茂友,“受講者の行動特性を加味した授業評価の分析と考察,”日本工業大学 研究報告 第32巻第1号 PP.151-161(2002)
- [7] Mikio Ohki, Shinjiro Akiyama【2001年度大学院修了】 ,Yasushi Kambayashi,“A Verification of Class Structure Evolution Model and Its Parameters,”IPSJ SIGSE ,ACM SIGSOFT, Fifth International Workshop on Principles of Software Evolution ,Proc.of IWPSE2002,pp.52-56(2002)
- [8] 木村江里【2001年度大学院修了】,大木幹雄,
“反復的な改善を含むソフトウェアプロセス制御システムの試作,”情処学会第64回全国大会4Q-5 pp.157-158(2002)
- [9]斎藤良和【2001年度卒業】,橋本信也【2001年度卒業】,大木幹雄,
“反復的な改善を含むソフトウェアプロセス制御システムの試作と考察,”情処学会第63回全国大会3Q-3 pp.199-200(2001)
- [10]秋山正二郎【2001年度大学院修了】,大木幹雄,
“進化論的アプローチによるJavaクラスライブラリの進化モデルとその統計的検証,”情処学会第63回全国大会2K-5 pp.145-146(2001)
- [11]大木幹雄,秋山正二郎【2001年度大学院修了】,
“クラス構造の進化モデルと統計的進化パラメータの分析,”情報処理学会 情処研報Vol.2001 No.92 SE-133-3 pp.15-22(2001)
- [12] 大木幹雄,秋山構平【1999年度卒業】,
“概念モデリングにおける判断基準の提案とその有効性評価,”電子情報通信学会論文誌VOL.J84-D-T No.6(2001)
- [13] 大木幹雄,秋山構平【1999年度卒業】,
“多重継承を含むクラス自動抽出機構の検証,” 電子情報通信学会 信学技報 KBSE Vol.100 No.90 (2000)
- [14] 大木幹雄,稲田晃【1998年度卒業】,
“クラスモデリングにおける判断基準の分類と3D-CASEツールの試作,” 電子情報通信学会 信学技報 KBSE Vol.99 No.312(1999)
- [15]黄長華【1999年度大学院修了】,大木幹雄,坂本康治,
“エージェントを用いたモバイル環境におけるアクセス方法,” 情報処理学会第56回全国大会 講演論文集(3) 3-627(1998)
- [16] 黄長華【1999年度大学院修了】,大木幹雄,坂本康治,
“協調行動の役割形成における隣接集合の嗜好的なアクセス手法,” 電子情報通信学会 信学技報KBSE Vol.98 No.387(1998)
ソフトウェア技術に関する3つの方向
1. ソフトウェア開発/プロジェクト管理の進化機構に関する研究
ソフトウェアの開発(特にオブジェクト指向のクラス構造)は,単純な機能をもった生物が環境の変化に適合して,
高度で複雑な機能をもった生物へと進化してゆくプロセスに類比させることができる.
ソフトウェア進化の原動力として,オブジェクトの協調と自己触媒機能に焦点を当て,
基本的な機構から動作機構,適用プロセス,応用問題までを対象にした研究である.
※参考文献: 自己組織化と進化の論理 −宇宙を貫く複雑系の法則― Stuart Kauffman 日本経済新聞社
2. ソフトウェア開発の定量化/ビジュアル化に関する研究
ソフトウェアの特徴であり,かつ問題点として,ソフトウェアの完成度やバグ,動作を目に見える形で万人に示すことができない点が上げられる.この研究は,ソフトウェア開発をあたかも積み木細工をするがごとく,手にとって見せり,あるいは完成したソフトウェアがどのような基本的なコンポーネントから出来上がっているかを認識できるようにするための基礎的な研究である.
現在まで到達した最新のソフトウェア技術を,次世代のソフトウェア開発に活用する再帰的な成長を支援する意味でソフトウェアがもつ特徴を最も生かした研究といえる.
3. ソフトウェア技術教育と教育データベースに関する研究
現在,ソフトウェアの世界で大きな課題となっているものとして,コンピュータの初心者に対して,いかに効率よく最新のソフトウェア技術を教育・移転していくかがある.
最近,話題になっているヘルプデスクに対するニーズもこのような移転がうまく行われていないことを示したものと言える.
この研究は,技術移転に関する課題の究明と,より移転しやすい方法を研究するものであり,情報教育の現場で行わなければならない研究の一つである.
当面の目標としては,教育方法,教材・事例データベースの構築とその基盤となるマルチメディア(オブジェクト指向)・データベースの構築・運用技術に的を絞っている.