ソフトウェア工学研究室の紹介

ソフトウェア工学研究室内の風景と研究に対する考え方を紹介します


実験室センターテーブル上の小緑        研究室入口の大緑

ソフトウェア工学の研究に対する考え方


【 ソフトウェア工学研究に対する基本な理念 】

 ソフトウェア工学は他の工学と同様に,経験に基づく実践的な学問です.すなわち,ソフトウェア開発技術者やIT技術を活用した戦略情報システムを開発する開発現場の技術者にとって,役に立つ技術を追求する学問です. そのため,当研究室では,学会のみならずソフトウェア開発企業と常に協力しながら, 最新の技術とその動向を追跡し,『10年以内に実社会で必ず役に立つ』 ソフトウェアの基礎技術開発に関する研究を行っています.


【 実社会で活躍する研究室先輩の足跡 】


ソフトウェア技術に関する3つの方向



1. ソフトウェア開発/プロジェクト管理の進化機構に関する研究

 ソフトウェアの開発(特にオブジェクト指向のクラス構造)は,単純な機能をもった生物が環境の変化に適合して, 高度で複雑な機能をもった生物へと進化してゆくプロセスに類比させることができる. ソフトウェア進化の原動力として,オブジェクトの協調と自己触媒機能に焦点を当て, 基本的な機構から動作機構,適用プロセス,応用問題までを対象にした研究である.

※参考文献: 自己組織化と進化の論理 −宇宙を貫く複雑系の法則― Stuart Kauffman 日本経済新聞社

2. ソフトウェア開発の定量化/ビジュアル化に関する研究

  ソフトウェアの特徴であり,かつ問題点として,ソフトウェアの完成度やバグ,動作を目に見える形で万人に示すことができない点が上げられる.この研究は,ソフトウェア開発をあたかも積み木細工をするがごとく,手にとって見せり,あるいは完成したソフトウェアがどのような基本的なコンポーネントから出来上がっているかを認識できるようにするための基礎的な研究である.  現在まで到達した最新のソフトウェア技術を,次世代のソフトウェア開発に活用する再帰的な成長を支援する意味でソフトウェアがもつ特徴を最も生かした研究といえる.
 

3. ソフトウェア技術教育と教育データベースに関する研究

  現在,ソフトウェアの世界で大きな課題となっているものとして,コンピュータの初心者に対して,いかに効率よく最新のソフトウェア技術を教育・移転していくかがある.  最近,話題になっているヘルプデスクに対するニーズもこのような移転がうまく行われていないことを示したものと言える.  この研究は,技術移転に関する課題の究明と,より移転しやすい方法を研究するものであり,情報教育の現場で行わなければならない研究の一つである.
 当面の目標としては,教育方法,教材・事例データベースの構築とその基盤となるマルチメディア(オブジェクト指向)・データベースの構築・運用技術に的を絞っている.