目的

 現在ロボットは様々な分野で応用され使用されている。ロボットハンドの技術に関しては、福
祉分野での複雑な動きのできる義手、産業分野での多機能な工作機械として活用されてい
る。それらのハンドの動作をさせるためのアクチュエータとして現在までに電動モータ・油圧シ
リンダ・空気圧シリンダなどを使用したものが開発・使用されてきた。しかしなお、携帯や移動
が容易な小型で高出力の新アクチュエータの開発が望まれている。そこで、形状記憶合金
(SMA;Shape Memory Alloy)ならば以下に示す特徴を生かすことにより上記の問題を克服で
きると考えた。
1.機械的な修動がない。
2.エネルギ変換が直接的で、パワーウェイトレシオ(単位重量あたりの出力)が大きいことか
らアクチュエータおよび周辺機構の小型化が図れる。
3.柔軟な材料であるのでアクチュエータの形状を決める自由度が大きい。
4.形状記憶合金の変形の際、電気抵抗が温度に応じて変化するため、センサとしての役割
を兼ね備える。
 また、形状記憶合金は動作形態が滑らかで駆動音が静寂である事から人間の手に匹敵す
る性能を持つロボットハンドのアクチュエータとしての応用が進められている。
 本研究では、形状記憶合金が伸縮することにより水圧シリンダが動作すると共に、形状記憶
合金の水冷を行う形状記憶合金・水圧併用アクチュエータの開発を行ってきた。そこで、より
人間の手に近づけるために指の自由度を増やすと共に、確実かつ高速に動作するアクチュエ
ータ機構を開発することを目的としている。
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