第1回
目標
- 1.「情報処理演習」講義概要
- 2.Linuxへのログオン・ログオフ
- 3.タイプ練習ソフトウェアの利用
授業概要について
- 授業のねらい
- 授業計画
- 成績評価
これについてはトップページ参照のこと.
Ubuntu Linux起動USBメモリについて
授業ではUbuntu Linuxを使用する.各自自分用の起動用のUSBメモリを時間中に作成(中身をコピー)する.自分のUSBメモリ(8Gbyte)を学籍番号と氏名のタグをつけて提出すること.
この起動メモリは次のユーザが登録されている.
- ユーザID: nituser
- パスワード: 授業中に説明
情報処理装置としてのコンピュータ
コンピュータを「情報処理装置」としての側面から説明すれば,「キーボードやマウスなどの入力装置を操作してデータ(それ自体は人間にとってあまり価値がない)を入力し,それをパソコン本体で処理し,モニタなどの出力装置へデータを処理した結果としての情報(人間にとって価値のある)を出力する機械」だといえる.
どのようにデータを処理するかは,人間があらかじめ指示しておく.この処理内容を指示する記述の集まりを「プログラム」と呼ぶ. 出力装置,処理装置,入力装置という機器類のことを「ハードウェア」,プログラムのことを「ソフトウェア」とも呼ぶ.コンピュータの特徴は,プログラムを適切に用意できれば,様々なデータに対して処理を「自動的」に進めることができる点である.
一般に良く使われるプログラム,例えば文書作成や表計算などの仕事をするためのプログラムは,既製品として流通・配布されている.このような仕事別のプログラムのことを,アプリケーションプログラム(仕事をするプログラム)と呼ぶ.例えば,文書を作るためのワードプロセッサ,表計算をするための表計算ソフト,データを管理するためのデータベース,パソコン通信をするための通信ソフトなどがある.それぞれのプログラムを必要に応じて動かすことによって,コンピュータが仕事のための道具となる.
オペレーティングシステム(OS)とは
このように様々なアプリケーションプログラムが存在するため,それらの起動(動かすこと)方法や,そのプログラムが扱うデータや情報などをきちんと管理する必要がある.このような管理作業自体を行うプログラムのことを,オペレーティングシステム(以後「OS(オーエス)」と表記)と呼ぶ.このOSの役割は,アプリケーションプログラムとそれの扱うデータや情報の管理だけでなく,入力装置などのハードウェアとソフトウェアとの仲立ちをして人間が効率よく利用できるようにする役割,複数の利用者(ユーザ)がコンピュータを利用するためのユーザ管理機能など,コンピュータを便利に効率良く利用するための基本的な管理機能を提供する.
OSには様々な種類が存在しているが,現在ではMicrosoft社が販売しているOSの一つである「Windows」が最も普及している.一般に「Windows」と省略されて表現されることも多いが,「Windows Xp」「Windows Vista」「Windows 7」などいくつかのバージョン(版)が存在する.それぞれに操作方法が異なる部分が存在するもののこれらWindowsに共通する特徴は,直感的に操作できる初心者向きの操作体系を目指して設計されている点であり,その特徴ゆえ多くのユーザ(利用者)を獲得し,ビジネス分野でのコンピュータ利用の飛躍的な普及に貢献してきた.
UNIXとは
UNIXはWindowsよりも古く1968年にAT&T社のベル研究所でC言語を用いて開発されたOSである.当時はまだPCがおもちゃのような存在で高価なコンピュータシステム(ワークステーションと呼ばれた)に搭載され当初から研究機関などで複雑な計算やシステムの管理によく利用されてきた.その意味では研究開発者向けのOSである.様々なコンピュータメーカが自社のハードウェア(ワークステーション)用に移植を行い,個別に開発が進められたため,多くの派生OSを生み出した.これらを総じてUNIXクローン,あるいはUNIX系OSと呼ぶ.例えばIBMのAIXや,Sun MicrosystemのSolarisなどがある.パソコン用のLinuxもUNIX系OSの一つである.
現在個人向け・ビジネス向けのパソコンではMicrosoft社のWindowsが圧倒的に普及しているが,サーバーマシン向けではUNIX系OSもよく用いられている.
Linuxとは
日本では「リナックス」と発音されることが多いこのOSはPC-UNIX(PCで動作するUNIX)の一種である.開発者はフィンランドの当時大学生であったLinus Benedict Torvaldsであり,1991年に誕生した.ちなみに作者自身の話すスウェーデン語の発音では「リーヌークス」であるが英語での発音としては作者自身が「リヌックス」と発音している.
正確にはLinusが作成したのはOSの核となるカーネル部分だけである.このLinuxカーネルを中心に必要なコマンドプログラムやライブラリなどを添付し実際にすぐ利用できるようにまとめたものをディストリビューションと呼ぶ.Linuxにはたくさんの種類のディストリビューションが存在し,それぞれに特徴がある.
Ubuntu Linuxについて
様々なLinuxディストリビューションの中で特に初心者向けを目指し,デスクトップに現時点で一番利用されているものがUbuntu(ウブントゥ)である.Ubuntuはアフリカ語で「思いやり」を意味する単語である.UbuntuはLinuxの中でもGUI(下記参照)にこだわり基本的にマウスを使ってソフトのインストールやその他OSの様々な設定が可能なように工夫されている.無論キーボードから入力するLinuxのコマンドも使用できるため普段の利用ではGUIで使用しサーバー管理の練習などをコマンドで行うこともできる.
詳細は,Ubuntu Japanese Teamなどを参照のこと.ダウンロードはUbuntuの入手より.
CUI(コマンドラインインターフェース)とは
パソコンでは,Windowsのように,マウスを使って画面上のアイコンやメニューを操作する方法が一般的である.これを「GUI(グラフィカルユーザインターフェース)」と呼ぶ.これに対して,キーボードから,簡単な英単語を基本とする「コマンド」を入力して,目的の操作を行う方法のことを 「CUI(コマンドラインインターフェース」と呼ぶ.UNIX系OSでは,このCUIが主流であった.(ただし最近のLinuxなどでは,GUIのための環境も整備されている.)
GUIでは予備知識がなくても適当にアイコンやメニューをクリックしてみることで直感的に操作できるが,CUIではコマンドを覚えていないと,何も操作できないという欠点がある.しかし,一度コマンドを覚えてしまえば,マウスを操作せずにキーボードだけから操作ができ,特に繰り返し同じ操 作を行うような場合など,結果的にマウスよりも操作の手間が少なくなることも多い.また,遠隔地にあるコンピュータも,コマンドを送信さえすればリモート操作できるため,特にシステム管理者に有用である.これがサーバマシンにUNIX系OSが利用されている理由の一つでもある.
コマンド操作の基本
OSに対する操作は,例えばWindowsではスタートメニューをクリックしてプログラムを起動したり,「マイコンピュータ」をクリックしてファイルを選択したり移動したりするような操作のことをいう.UNIX系OSでは,このような操作一つ一つに対応した何種類ものコマンドを目的に応じて入力し て操作を行う.
そもそもコマンドを入力するためには,UNIXマシン(UNIXが動作しているコンピュータ)のキーボードを使用するが,サーバマシンとして動作しているUNIXマシンは通常は遠隔地にあり,いつも目の前にあるわけではない.そのため一種の通信ソフトである「端末(ターミナル)ソフト」などを用い て,「リモートログイン」と呼ぶ操作を行い,遠隔地に存在するUNIXマシンに対してネットワークを通じてコマンドを入力するための準備を整える.
リモートログイン(Telnet)
リモートログインとは,遠隔地にあるUNIXマシンにネットワーク越しにログインし,リモートコントロールすることをいう.そのために使われる代表的なソフトには「telnet」がある.元々telnetはUNIXのコマンドであり,UNIXマシンからネットワーク接続された別のUNIXマシンをリ モートコントロールするために用意されたものである.Windowsにも標準で搭載されているものの,一般には多機能で使いやすいフリーなターミナルソフト(telnetコマンド)を導入して利用することが多い.代表的なWindows用のターミナルソフトには「TeraTerm」がある.
一般的なターミナルソフトの使い方は,起動してリモートコントロールしたい接続先のUNIXマシンの名前かIPアドレスを指定することから始まる.指定したマシンが正しく,間違えずに相手を指定し,相手が存在していれば(起動していれば),次のような反応が返ってくる.
login:
ここで登録されているユーザ名をキーボードから入力しEnterキーを押すと
password:
ユーザ名に対応したパスワードをタイプしEnterキーを押せば,正しいパスワードであった場合にはログインに成功したことを告げるようなメッセージが表示され,最終的に次で説明するコマンドプロンプトが表示される.
コマンドプロンプト
コマンドプロンプトとは,UNIXマシンがユーザがコマンドを入力するのを待っている,コマンド待ち状態にあることを示す表示である.
一般的なコマンドプロンプトは次のように
マシン名%
と表示され,さらに%に続いて,「_」記号が点滅している状態であることが多い.「_」のことをコマンドカーソルと呼ぶ.
この状態で,キーボードを叩くと,表示されている%に続いてタイプした文字が表示され,任意のコマンドを入力することができる.
コマンドの種類
実際に様々なコマンドが用意されているが,詳細は次回テキストを参照すること