埼玉県立大学国際セミナー’05が「保健医療福祉サービス改革とインタープロフェッショナル教育」を主題として、2005年11月25日、26日、29日の3日間、本学において開催されました。
これから4年間継続的に実施される国際セミナーの第1回目は、この分野で優れた実績を有する英国専門職連携教育推進センター(CAIPE)所長のバーバラ・クレイグさん、開発部長のヘレナ・ロウさんを迎えて、英国の専門職連携教育の背景と現状についてともに学ぶセミナーを企画しました。
講演
国際セミナー初日の講演会は、11月25日、本学講堂にて開催され、本学の学生、教職員、県内の保健医療福祉従事者など、約500名の参加を得ることが出来た。来賓として文部科学省医学教育局看護教育課から和住淑子専門官がこられ、全国約30の保健医療福祉の大学から「専門職連携」に関心を持つ先生方の参加があった。講演会の司会進行と開会のご挨拶は、丸山実行委員長が流暢な英語を交え自ら行なった。丸山実行委員は2005年3月に英国CAIPEを訪れて今回の招聘に尽力された。学長が、今回の講演会の目的と意義、わが国の保健医療福祉サービスに果たす役割など、開催にあたってのご挨拶を英語でお話になった。
バーバラ・クレイグ氏の講演
講演会は、まず、CAIPEの所長であるバーバラ・クレイグ氏が「英国の専門職連携教育に関わる法律及び政策の現状」について話された。クレイグ氏は、まず、用語の定義について説明し、CAIPEの設立と経緯、そして英国の国民保健サービスと社会サービス組織を紹介した。
Interprofessional Education:IPE(専門職連携教育)のCAIPEによる定義は、「複数の領域の専門職者が連携及びケアサービスの質を改善するために、同じ場所でともに学び、お互いから学び合いながら、お互いのことを学ぶ」ことであり、Multiprofessional Education(多職種連携教育)よりも相互作用と共通の目標が強調されている。この定義は英国内でも海外でも広く使用されている。
英国では、1997年以降労働党ブレア政権の下で法律や政策の転換があり、革新的な専門職連携学習や実践が活発になった。保健及び社会ケアに変革をもたらすには近代化が必要であり、それには連携協働が必要とされた。大規模病院で認められていない実験的な手術が黙認されていた事件と、虐待によって少女が死亡したビクトリアちゃん事件という国民を震え上がらせるような2つの事件が起こった。これらは専門職連携と協働の失敗であり、近代化の取り組みを後押しした。
連携協働を推進するための法律として、ヘルス・アクション・ゾーンや、患者中心の国民保健サービスなどが作られた。
最後に、クレイグ氏は専門職連携教育についてふれた。英国では、専門職連携が実践でき、将来のサービスを担う、職種を超えた新しい役割を遂行することができる専門職者を育てるために、大学と地域の各種医療社会サービスや地方自治体が協力して専門職連携教育に取り組んでいる。特に、ソーシャルワーカーの資格取得のための実習では、学生は、専門職連携の知識と技術を実践することが義務づけられている。
ヘレナ・ロウ氏の講演
次に、CAIPE開発部長のヘレナ・ロウ氏が「英国での専門職連携教育の新しい方向と発展―保健及び社会サービスの改革」について、特に英国の高等教育機関及び保健福祉ケアの実践の場でIPEが遂げた発展に焦点をあてて話された。
ロウ氏は、「専門職であるとは、専門職連携ができることを意味する」と強調し、「専門職連携教育の目的は実践で連携協働を促進することにある」と強調した。そして、協働には信頼が不可欠であると述べている。
英国でもIPEの歴史は、単発で小規模な時代があったが、クレイグ氏が述べた事件とともにケアサービスの失敗に関する公的調査(ブリストル調査)が行われ、これが専門職連携教育を大規模に発展させることに貢献した。専門職連携教育を行う実験校に国から助成金がおり、専門職連携教育を計画的に進めることが出来るようになった。各大学は地域教育委員会(労働力開発連盟)が協力して教育プログラムを開発しパートナーシップを確立させた。レスター大学とリバプール大学の具体的な教育実践例が紹介された。ノーザンプトン市の病院などで職種間の関係改善の学習開発例が紹介された。
また、専門職連携学習の教員やファシリテーが必要であり、そういう人材を養成する戦略を開発する必要がある。さらに、クライエント及びサービス利用者が参加することも必要である。
CAIPEはこのような英国における専門職連携教育の発展に貢献してきた。最後に、ロウ氏は「専門職連携の実践は特別なことではなく、ごく普通のことであり、協働の能力は専門職の能力の標準的な一部である」という文化を創造し、維持していくためにCAIPEはますます努力していくと述べた。
大塚眞理子氏の講演
最後に、埼玉県立大学から、大塚眞理子氏が「わが国におけるインタープロフェッショナル教育の取り組みと課題―埼玉県立大学の実践を例にー」について話した。
わが国では少子高齢社会の到来とともに、患者の経過が長期におよび複雑で多様な問題を抱えるようになり、保健医療福祉の連携協働が不可欠となっている。21世紀にむけた保健医療福祉の専門職教育にチームケアの必要性が指摘され、各専門職教育課程に取り入れられるようになっている。しかし、各専門職教育は単独で行われる傾向にあり、相互に学びあい理解しあうようなインタープロフェッショナル教育を行っている大学は少ない現状である。そのなかでも、埼玉県立大学が1999年の開学以来「連携と統合」の理念の具体化として取り組んできた教育は、CAIPEが示した「専門職連携教育」と同じであると言える。
埼玉県立大学における「連携と統合」の教育は、推進する組織的な取り組みと学科を越えた合同の実践的な科目がある。科目としては、1年生のフィールド体験学習と4年生のインタープロフェッショナル演習の例が説明された。
大塚氏は、これらを踏まえ、わが国の専門職養成教育におけるインタープロフェッショナル教育の課題を示し、日本型のインタープロフェッショナル教育を創造していこうと呼びかけた。
質疑応答
3氏の講演後、指定質問者からの質問をうけ質疑応答が行われた。
専門職連携教育をうけた卒業生の活躍について大塚氏に質問があった。この質問については、当日参加してくれた卒業生2名が、作業療法士として、看護師として、今の仕事振りを発言してくれた。
総括
全体を総括してクレイグ氏は、今後の埼玉県立大学国際セミナーの発展について、4年後の2008年には、アジアのIPEの拠点として国際セミナーを開催できるよう、期待を述べた。
IPE理解のためのセミナー・ワークショップ
運営担当:大嶋伸行、朝日雅也、小川孔美
埼玉県立大学セミナープログラムの一環として11月26日(土)には管理棟2階の大会議室において、前日の講演に引き続き、Helena Low及びBarbara Clague両氏によるワークショップ・セミナーを開催した。当初、午前中にワークショップ、午後にセミナーという形態が予定されたが、6グループに分けてのワークショップを基盤に、時折パワーポイントにて、IPEのエッセンスを解説する方式で終日、プログラムが進められた。このセミナー・ワークショップは、専門職連携教育の鍵となる概念を理解するため、参加者の経験と技術を踏まえながら、教育の土台となる概念の理解、教育を進めていく上での方略を開発する際に考慮すべき要素、教育の評価を理解することが目的とされ、ワークショップ参加者による相互作用を重視した体験的なプログラムとして準備された。
はじめにHelena Low及びBarbara Clague両氏から、私たちを「講師」としてではなく、「ファシリテータ」として呼んで欲しいという冒頭でのコメントが、この日のプログラムの特徴を顕著に表していた。
参加者は、午前、午後での入れ替えは多少あったものの、土曜日の開催にもかかわらず計71名にのぼる盛況ぶりであった。前日の講演会から引き続き参加された方、ワークショップからの参加の方など、プログラムへの参加の仕方も多様であった。
参加者は計6つのグループに分けられたが、「相互に知り合いでないこと」「多様な職種が交じり合うこと」が条件とされた。実際には、看護師、医師。理学療法士、作業療法士、歯科、臨床検査、心理、教育、社会福祉など、参加者の研究領域は多岐にわたった。
最初のセッションでは、「A⇒B」「B⇒A」と参加者間で自己紹介を行い、それぞれ相手を他のメンバーに紹介するというプログラムであった。ワークショップの導入段階におけるいわゆるアイスブレーキングの一種であるが、各グループでは早速、メンバー間の話が弾んでいた。これらの経験をもとにファシリテータの二人からは、連携にあたっては、目的を明確にすること、他の職種の役割を理解すること、そして、連携の成果が、サービスの利用者にとって実際に役立つことなど、専門職連携教育に関する基本的な概念についてスライドを交えながらの説明が行われた。特に、職種間に発生する障壁の除去や、その中で価値観の違いを認めながら自らの価値観の確認の大切さが強調された。
引き続き行われたセッションでは、グループによる専門職連携における障壁についてディスカッションにより、複数個の障壁が報告された。その結果に基づき、ファシリテータの二人から解説がなされ、職種間にある文化の違いを認めるところから出発することの重要性やコミュニケーションの必要性などが強調された。その中でも、「はじめに患者(サービス利用者)ありき」が、出発点となり、そのコンセプトに基づいて全体をマネジメントしていくことが求められる。
大学食堂を会場にした昼食の時間帯も、各グループを単位とした討議や話し合いが続き、グループとしての凝集性が高まっていった。
午後のセッションでは、IPEを進めるための基本原則(Ground Rules)が紹介された。すなわち、相互の尊重、相互支援、自身の専門性と他の分野の専門性の認識、それらの共通点と相違点の認識である。英国の大学における具体的な取り組みが紹介され、特に、サービスの利用者がプログラムに参加できるかどうかも重要な要素のひとつであることが説明された。
再び、グループでのディスカッションが行われ、自らのフィールドや大学教育の場で、IPEを進めるときに、「これだけは他の人に伝えたい」というテーマでディスカッションを行った後、英国における取り組み事例をもとにした評価に関する解説がなされた。
さらに、最後のセッションでは、IPEを進めるための具体的なシナリオ・プロジェクトについてのディスカッションが行われ、参加者それぞれがIPEを進めるために取り組むことのできる具体的な行動についての提案がなされた。
IPEのポイントや、進め方を自らがワークショップに参加・体験することで、実践的に学ぶ機会を提供する機会であった。Helena Low及びBarbara Clague両氏にはファシリテータ役に徹し、また、折に触れ、IPEを具体的に進めるためのヒントを織り交ぜて、全体を進行していただいた。
今回の会場は、通常、教授会が開催される会議室であり、常設に近い机と椅子を移動するのはひと作業ではあったが、結果的には暖かみのある環境を提供することになり、ワークショップの進行にとって好影響を与えることになったと思われる。
実施後のアンケートでは、「ワークショップの内容」について、 24人(88.9%)が適切であると回答しており、「もう少し時間がほしい」「ワークショップ、セミナーを1日ではなく、2日にしてほしい」という声にも代表されるように、段階を追ってのグループ作業が好評だったようである。
さらに、「医師の参加も増やして、今後も継続していただきたい」、「保医福以外の職種の参加も必要なテーマでもやりたい」といった積極的な意見も寄せられた。
教員ファシリテーター養成のためのワークショップ
運営担当:新井利民・田口孝行・平田美和 11月29日、大学棟101演習室にて、本学教員を対象にしたIPE理解のためのワークショップを開催した。参加者は次の20名で、見学者も多数あった。
参加者には、事前にワークショップ参加にあたって自らのIPEやIPWへの経験や考え方についてふり返る自己評価シート(Self Appraisal Questionnaire)が配布され、多くの参加者が英語で回答し、講師の2人に事前配布された。2人の講師は前日まで京都への視察研修を行っていたが、復路の新幹線では丁寧にそのシートを読み、参加者がどのような研修ニーズを持っているのかを確認し、研修内容の再構成を行っていた。
参加教員の構成は、看護学科 8、社会福祉学科 5、理学療法学科 4、作業療法学科 2、健康開発学科 1の合計 20人であった。
他己紹介によりお互いを知る
まず、普段あまりコミュニケーションをとったことがない、異なる学科や職位の教員同士で二人組になり、5分間ずつ自己紹介を行った。仕事・趣味・家族などの個人的な内容のほかに、自分にとっての専門職連携教育とはどのような意味を持っているのかを話し合った。その上で、全体でお互いの紹介をしあう「他己紹介」を行った。開始当初はどのようなワークショップになるのか、期待と不安が入り混じっていたが、この導入の約1時間で和やかな雰囲気となり、話しやすい雰囲気が醸成された。また、専門職連携教育に関する期待や疑問・不安が共有され、それぞれの考え方を知ることが出来た。講師のHelena Low氏からも、「異なる学科の教員がこのようなグループで自由に話し合う機会はあまりなかったのではないか。お互いを信頼するためには、お互いを良く知らないといけない。」というコメントがあり、多くの参加者がうなずく様子が見られた。
その後、今回のワークショップで参加者が期待することについて、自己評価シートから次ようなトピックが示された。
Understanding facilitator role and skills
Understanding evaluation of IPE
Involvement of service users-how
Argue the case for IPE
Manage conflict
Knowledge of other profesions
Respect of/for other professions
Communication
IPEの概念整理と課題の明確化
和やかな雰囲気になった後、講師のBarbara Clague氏から、IPEの理念に関する概説があった。専門職連携教育は、多職種連携教育(Multi-professional education)とは明確に異なり、複数の領域の専門職が同じ場所で相互作用しながら学ぶことが重視され、その目的は専門職間の協働をよりよいものにし、患者・利用者中心のケアの質を高めることであるとされた。また展開に当たっては、成人学習の考え方を取り入れ、相互作用を重視し、互いの価値観やり方を尊重し、共通するゴールを設定し、最後にしっかりとした評価を行うことの必要性が指摘された。
以上を受け、今度は5人一組のグループを作り、 IPEを進めていくうえで直面している課題について約30分間議論し、模造紙にまとめた。テーマは各グループに割り当てられ、①カリキュラムの位置づけや学年配当・推進体制などの「組織的な問題」、②専門職間で用語が異なったり仕事の仕方が違ったりするなどの「コミュニケーションの問題」、③IPEに対する学生や教員のモチベーションや責任感の不足という「コミットメント欠如の問題」、④職種間の地位やそれぞれの雰囲気など「職業文化の問題」という4つのテーマについて話し合われ、終了後それぞれのグループから発表が行われた。まだIPEの展開に関して具体的イメージがわかない参加者も多かったが、テーマごとに活発な議論が行われた様子であった。
IPEファシリテーターの技能を理解する
昼食をはさんで、午後の最初のプログラムは、IPEファシリテーターに必要であると思われる技能に関するディスカッションであった。グループごとに自由に話し合いが行われた後に、Helena Low氏から、英国レディング大学など6つの大学・機関が共同で行っているPIPE(Promoting Interprofessional Education)プロジェクトで得られた、ファシリテーターに必要なスキルに関する概説があった。
同プロジェクトのスキーム3では、デルファイ法により専門家集団からIPLファシリテーションに関するリサーチが行われ、その結果から①IPL特有のファシリテーション技術はないこと、②IPL集団とはもともと多様で複雑であり、そのファシリテーションは多様で複雑な集団の活動を促すのに必要な技術と同様であること、③単一領域の専門職者集団を支援するときよりもさらに幅広く高度な技術が求められること、などが示された。また一般的なファシリテーション技術の主な5つのカテゴリとして、①ファシリテーターとして自ら認識し自己を活用すること、②差異や対立へ適切に対処すること、③集団の形成過程や人間関係へ配慮すること、④ファシリテーターと集団や集団内の力関係に配慮すること、⑤課題の状況や計画、そして実行過程がリアリティのあるものであること、などについて説明があった。
共通した専門科目においてIPEを取り入れるには
続いて、全学で共通した専門科目、例えば解剖学、生理学、社会保障論などの科目を、専門職連携学習として行う場合にはどのような展開が必要かについて、「目的」「達成目標」「必要な行動」に関してグループで話し合った。この課題は参加者一同あまり想定していなかったものであり、戸惑いがあったが、Helena Low氏からの「一つの科目に複数の専門職種が学ぶ場合でも、専門職連携教育の要素を取り入れることが出来るのではないか」「他の職種の役割を理解し、どう尊重するのかということを理解する試みが出来るのではないか」という問いかけは、本学で平成18年度から設定する「連携の窓科目」やIP演習などの展開に向け、大きな課題となった。
IPEプログラムの評価の視点
最後に、IPEの教育や研究の質の評価に関して、Barbara Clague氏から、1.設定された目的や目標が協働実践を促進しているか、2.協働はケアの質を向上させているか、3.専門職連携学習がプログラムの中にどのように構築されているのか、4.専門職連携の価値によってプログラムは形作られているのか、などの問いかけがあった。さらに、専門職連携学習を展開するにあたっての指針が示された。時間の関係上、IPEのプログラムに関する計画の検討は出来なかったが、これらの指針は今後の本学IPEの展開に示唆を与えるものであった。
フィードバックとコメント
数人の教員から、ワークショップを終えるにあたって次のようなフィードバックが出された。「PBLチュートリアル教育とIPEファシリテートとが類似したものであり、大きな示唆を得た」、「大学がはじまって7年たったが、改めてそれぞれの教員が考えていることなどを話し合うことができ、非常にいい機会であった」「IPLは目標でもあるが、プロセスそのものが大切だということが分かった」「われわれ教員同士もほかの職種の事を知り合う、コミュニケーションが大切だ。」「資料として提示された内容は、今後学内の教員でかなりディスカッションして理解していかなければならないと痛感した。」。
これらのフィードバックを受けて、Barbara Clague氏から、次のようなコメントがあった。「専門職連携学習は、フィードバックにもあったが、人間関係を重視したものです。人間関係は整然としているわけではありません。基本となるのは、相手を尊重する、価値を尊重する、利用者を中心にすえるということです。」。
またHelena Low氏からは、「IPEという、いままでにはないやり方、それを教えることを躊躇しないでください。今日はこの大学にとって非常に大きな前進を遂げた日ではないでしょうか。それに協力することができ、深く感銘を受けました。」。
この日で3日間の国際セミナーの全日程を終えた。講師の最後のコメントによって、本学の専門職連携教育の挑戦の一つの到達点を迎えられた達成感と、新たなスタートラインに立っていることの期待感を得ることができた。
ワークショップの今後の展開に向けて
終了後の参加者に向けたアンケートでは、ワークショップ運営上のいくつかの課題が提起された。特に反省点としては、運営教員側の連絡調整の不足、そして通訳を介した進行と言う制約もあって、ワークショップの内容や到達点が見えづらく、参加者にとって目標が明確にできなかったことがあげられる。そのため全体を通して、また個々のグループワークでも、議論の内容を焦点化できないグループがしばしばあったようである。今後学内教員や学外の関係者に広く参加してもらえるワークショップの開催に向けては、今回のワークショップで示された重要な論点を踏まえつつ、日本の高等教育やサービス提供体制の文脈に合わせて、ワークショップの展開方法を検討する必要がある。
今回の取組は、本学及び日本における専門職連携ファシリテーター・ワークショップを発展させる上で、重要な第一歩となったことは間違いない。Helena Low及びBarbara Clague両氏をはじめ、参加・協力していただいた多くの教員に感謝したい。
講師紹介
Ms. Barbara Clague バーバラ・クレイグ氏 Chief Executive, CAIPE CAIPE所長
長く専門職教育(特に保健福祉分野)と職員研修管理分野に従事したのち、5年前より現職。ブロムレイ大学副学長、ブロムレイ保健行政官も歴任。中央ソーシャルワーカー教育訓練評議会委員を5年務める。全経歴を通してのテーマは保健・福祉の連携。2004年MBE (Member of the Order of the British Empire)受賞。
Appointed as Chief Executive of CAIPE five years ago, the focus of Barbara’s career has been on education for the professions, particularly in health, social care and management with an emphasis on staff development and training. She has worked in university and further education and became Assistant Principal of Bromley College of Further and Higher Education. During this period Barbara was active in supporting small businesses in South East London.
Barbara was a Member of The Central Council for Education and Training in Social Work for five years and, following this, became a Member of Bromley Health Authority.
She is currently a Non- Executive Director of Queen Mary’s Sidcup NHS Trust. Barbara and her family have lived for many years in South East London and her current interests include Care Partners Trust which provides services to support older people and people with disabilities in their homes in South London. She is a Governor of Sydenham High School and a Board Member of the Blackheath Conservatoire for Music and the Arts.
An enduring interest throughout her career has been the development of education to improve collaborative working between health and social care. In 2004, Barbara was awarded an MBE for services to education and the community in South East London.
Ms. Helena Low ヘレナ・ロウ先生 Development Manager, CAIPE CAIPE開発部長
キングスカレッジ病院で看護教育を受け、地域看護とプライマリーヘルスケアに従事。全国看護・助産・訪問協会での教育主任をへてCAIPEへ。現在、The Queen’s Nursing Institute評議員及び開発委員長。CAIPEでは専門職連携推進とその質の向上に関する開発を担当。
Helena trained as a nurse at King’s College Hospital and has spent most of her professional career in community nursing / primary health care as a district nurse, a teacher and a manager. She undertook her PGCEA and her MSc in Education at the University of Surrey.
Before joining CAIPE in 2002, Helena worked for the English National Board for Nursing, Midwifery and Health Visiting as an Education Officer with a Community / Primary Health Care specialist role and was also the lead Officer within the ENB for Interprofessional education and collaboration. In this latter role, she worked with other professional regulatory bodies, including the Central Council for Education and Training in Social Work, to take forward a range of interprofessional initiatives and publications. She also represented the ENB on a number of national interprofessional groups, including CAIPE Council.
Currently, she is a Council Member and Chair of the Practice Development Committee at the Queen’s Nursing Institute and is a Visitor for the Nursing and Midwifery Council (NMC)
Helena’s role as Development Manager at CAIPE focuses on taking forward interprofessional initiatives and quality issues.