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学長メッセージ『連携教育で実践力を育成する』(埼玉県立大学長 三浦宜彦)
今や様々な職種や住民が連携することなしには、すべての人々の生活の質を高めることはできません。多職種連携を現場で学ぶ。人々の生活とその環境を体感する。自らの力を発揮しつつ、他の職種と協力して課題を解決する。学生は連携教育を通じて必ずや豊かな実践力を身につけると確信しています。
「連携と統合」を掲げて開学した保健医療福祉系総合大学
埼玉県立大学は、「人間の尊厳に立って、保健・医療・福祉の専門的知識と技術を教授するとともに、それぞれの分野が連携して人々の健康を統合的に支えることを通じ、共生社会に貢献できる人材を育成する。」ことを教育理念とし、平成11年4月に開学しました。現在は、保健医療福祉学部に看護、理学療法、作業療法、社会福祉、健康開発の5学科を、大学院として保健医療福祉学研究科を擁する大学です。
ケアの共通基盤と高度な専門分野を学ぶ階層的カリキュラム
本学では、全学生に共通する「共通科目」と各学科別の「専門科目」とに分け、順次性を重視したカリキュラムを編成しています。
共通科目には、初年次科目、保健医療福祉科目、教養科目を配置し、保健・医療・福祉の領域において実践し行動するための、基盤となる資質や能力を涵養するカリキュラムを編成しています。保健医療福祉科目の中核には、全学生が必修の専門職連携科目(IP/Interprofessional関連科目)を各年次に配置し、その理念を支援する多様な支援科目を連関させたカリキュラム編成を行っています。また専門科目では、専門基礎科目を基礎とし、学科ごとに特色ある専門科目の体系的編成によって、専門職に必要な知識や技術、技能を身に付けた人材を育成します。
彩の国連携力育成プロジェクトにかける思い
本学における専門職連携科目は、開学当初から配置されてきましたが、カリキュラムの改訂ごとに徐々に発展を遂げてきました。
現在1年次に配置している「ヒューマンケア論」は、医療・福祉サービスを利用している患者・利用者やその家族をはじめ様々な方々を講師にお招きし、人をケアすることの原理を考え続ける力を養います。同じく1年次に行う「ヒューマンケア体験実習」は、学科混合のチームによって福祉施設や医療機関に赴き、ヒューマンケア論で学んだ考え方の実際を体感するものです。また2年、3年にもそれぞれ「IPW論」「IPW演習」が配置され、学内にて講義及び演習形式で専門職連携について学びます。
これらの集大成となるのが、4年次に開講されるIPW実習です。初年次科目及や教養科目、そして各学科・専攻における専門科目をほぼ履修し終えた専門家の卵たちが、改めてチームを組んで埼玉県内の様々な実習先で現実の課題と向き合います。この科目を通じて学生たちは、自らの力を発揮するためには他の専門家はもちろん、患者・利用者の力を借りながらチームで連携して援助を行っていくことが重要であることを実感します。
本学では限られた学科構成のため、IPW実習はこれまで埼玉医科大学の医学部とも共同で開講してまいりました。これら専門職連携科目のみならず、様々な科目において、4大学の力を結集して学生教育のプログラムを開発し、埼玉県民の誰もが、より豊かに安心して生活することができる地域社会を形成するために、学生が主体的に学ぶ場をつくり、また卒業生が力を発揮できるよう、支援してまいりたいと考えております。