城西大学薬学部 薬科学科
田村麻衣さん
楽しいだけの実習ではないけれど
「私にとって、IPW実習は自分自身の無力さを知ったり現実を突きつけられたりと楽しいだけの実習ではありませんでしたが、自分自身を見つめなおす良いきっかけになった有意義な4日間でした」
そう語ってくれたのは、城西大学薬学部薬科学科の田村麻衣さんです。
保健、医療、福祉、建築など様々な分野の学生が共に課題に取り組む『IPW実習』。この経験を一つのきっかけとして専門職連携に興味をもち、その後の『彩の国連携力育成プロジェクト』の取組にも参加する学生さんはたくさんいます。田村さんもその一人。平成26年8月に行われたIPW実習に参加した後、外部講師を招いた専門職連携に関する講演会や、4大学連携ワークショップにも積極的に参加しています。
8月のIPW実習の時のことを尋ねると、いつものにこやかな表情はそのままに、しかし、非常に率直な感想も。実習の中での様々な体験を経て、田村さんが得た“きっかけ”について、お話をうかがいました。
薬科学科の学生として
そもそも、田村さんが学ぶ「薬科学科」という学科は、どのようなことを学ぶ学科なのでしょうか?
「薬科学科とは薬学を基盤として、薬・化粧品・機能性食品など我々に身近なものを題材に、消費者の目線に立って研究開発を行うことができるスペシャリストを育てる学科です」
医薬品のみならず、化粧品、食品など、薬科学が関わる商品は、私たちの生活の中にあふれています。題材は実に様々ですが、こうした商品に対して、“消費者の目線に立つ”分野で学ぶ田村さんだからこそ、実習を通して感じることがあったようです。
「最も強く感じたことは、自分たちが学んでいる医療という分野は、大切な存在ではあるけれど対象者の生活の一部でしかなく、対象者の人生をより良いものにするためには、専門職連携や社会資源の活用が必要であるということです」
田村さんの語りからは、一人の対象者に対して、医療という一面だけでなく、生活をより良いものにするという「ケア」のもつ重要な目的と、そのための不可欠な手段として専門職連携や社会資源の活用があるという気づきがうかがわれます。
IPW実習で得られるもの
IPW実習には、チーム形成という側面からも学ぶことがあったようです。
「様々な学部の人と話すことで、自分に求められている専門領域や自分自身の強み・弱みを知ることができる有効なチャンスだと気が付きました。そして、薬科学科の目標である自分の好きな分野を突き詰めて社会に貢献する人材を育てるということを実践するために“求められるもの”“自分と違う考え方を知ること・受け入れること”“現場の声を知ること”などが必要であると思います。そういう点においてもこの実習で得られるものは大きいと思います」
勇気をもって
薬科学生だからこそ、知ってほしい、見てほしい、体験してほしい実習です、と田村さんはIPW実習を語ります。
「自分の知らない世界に一歩踏み出すことは勇気がいると思いますが、その一歩で見える景色はおおきくかわります」
この実習への参加に限らず、様々な領域の人とつながり、共に歩む世界の景色は、きっと今とは違うはずです。専門職連携を通して、新たな一歩を踏み出してみませんか?