教育理念
人間の尊厳に立って、保健・医療・福祉の専門的知識と技術を教授するとともに、それぞれの分野が連携して人々の健康を統合的に支えることを通じ、共生社会に貢献できる人材を育成することである。すなわち、本学は保健医療福祉の「連携と統合」を教育理念としている。
カリキュラムの構造
教育理念を実現するために平成18年度から新カリキュラムを開始した。このカリキュラムは「教養科目群」「共通専門基礎科目群」「専門科目群」「連携と統合科目群」から構成されている。
1)教養科目群
市民としての基盤を形成することをねらいとしている。人間、環境、活動の3領域の科目がある。
2)共通専門基礎科目群
保健医療福祉学部の全学科の学生が共通に履修する科目を配置している。これらは各学科の専門科目の一部であり、専門基礎という内容である。「人体の構造と機能及び心身の発達」「疾病・障害とリハビリテーション」「健康と社会」の3領域の科目で構成されている。多くの科目は複数の学科合同の授業である。1年生前期で学ぶ「共に学ぶ保健医療福祉」は5学科の必修科目であり、PBLテュートリアルという学習方法で行う。PBLテュートリアルは少人数でグループを編成し、問題解決に主体的に取り組む力を養う教育方法である。また、2年生後期の「ケアマネジメント論」でも、利用者の支援計画を立案するグループ学習を行う。
3)専門科目群
各学科の専門科目が配置され、専門的な知識・技術・態度を学ぶ。各学科でもPBLテュートリアルを行う科目を開設し、専門領域の学習をPBLテュートリアルの方法で学習する。1年生の「共に学ぶ保健医療福祉」のPBLテュートリアルで学んだことを踏まえて、さらに専門的な問題解決型のグループ学習を行う。
4)連携と統合科目群
連携と統合科目群は、本学の「連携と統合」の教育を象徴する科目群である。そのねらいは、「ヒューマンケアの理念を共通基盤に、他の学科の学生と相互作用しながら共に学び共に支援活動をする姿勢を身につけ、自分の専門領域に加え、他領域の広範な観点から考え、チームで目標を共有し実践できる能力を育成する」ことである。「ヒューマンケア論」「フィールド体験学習」「インタープロフェッショナル演習(以下;IP演習)」の3つの科目を配置し、「連携の窓」という他学科の専門科目を受講できるしくみがある。1年次の「ヒューマンケア論」で、5学科に共通する基本的な考え方、働きかけであるヒューマンケアを学ぶ。「フィールド体験学習」では、人に関わるための基本的な態度を学ぶ。各自のヒューマンケアは、保健医療福祉の現場、すなわち実習施設にいる人々との関わりの中で培われるものと考え、1年次から健康や生活上の課題を持つ人々とのふれあいやコミュニケーションを通して、ヒューマンケアを実感することを目指している。「連携の窓」とは、「連携の窓科目」として開設されている他学科の専門科目を履修し、他学科の専門的な知識に触れ、自分の専門領域を考える機会である。4年次のIP演習は、各学科の専門科目の実習が終了した後に、5学科の学生がそれまでに培ってきた専門的な力を活かし、保健医療福祉の連携・協働を学ぶ科目である。
これら連携と統合科目群の科目は、4年間で段階的に学べるよう教育目標を下記の表のように示した。本学の「連携と統合」教育における科目の位置づけと「連携と統合」教育の段階的な教育目標である。本学の「連携と統合」教育は、「利用者中心の姿勢」「専門領域の独自性と共通性」「チーム形成」という3つを柱にしている。
- 〇「連携と統合」とは?:本学の「連携と統合」は、高度化、複雑化する保健医療福祉の課題を解決するために、それぞれの分野が他の分野と「連携」し、利用者に「統合」したサービスを提供することを意味する。
- 〇「ヒューマンケア」とは?:キュア、ケア、社会サービスを包括して支援活動。
- 〇「連携・協働に必要なチームメンバーとしての姿勢」とは?:利用者主体の姿勢、他学科の学生と相互理解しようとする姿勢、自律した実践者としてチームで協働して支援しようという姿勢。