彩の国連携力育成プロジェクト [サイピー]

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勉強会「終のすまいを考える」来場者アンケートについて

 

 彩の国連携力育成プロジェクト勉強会「終のすまいを考える」は116名の方にご参加いただき、盛会となりました。参加者の専門分野は多様であり、当日の全体ディスカッションでは、様々な視点からの質問や感想が寄せられ、有意義な意見交換が行われました。

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 しかし、時間の制約から、ご発言いただける人数は限られていました。そこで、当日の感想を参加者が相互に知ることができるように、「掲載して構わない」と表明くださった方の感想をホームページ上に公開させていただくことにしました。

 アンケート回答者の感想には、在宅療養における環境の大切さに気づかされたという主旨のコメントが多くみられます。機能性のみならず快適性を考えること、個々人の価値観や家族の暮らしにも配慮が必要であることなどが、気づきの内容としてあげられています。

 また、外山先生の医療と建築の両分野の視点からのお話しが印象深かった、あるいは示唆に富んでいたというコメントも複数みられます。会場に多分野の方がいらしたこと、全体ディスカッションで様々な分野の方からの発言があったことについても、新鮮な経験として複数の方が記述されています。

 講演の中で示された療養環境の実例から、今後の住まいや療養環境整備のヒントを得たという主旨の感想も複数みられました。その他にも、それぞれのご経験やお立場を背景とした、多様な感想が示されています。

 

 以下、参加者の感想のうち、「掲載して構わない」とされたものを、回答者の属性ごとにまとめて掲載します。

 ぜひご参考ください。

 <掲載可・来場者の皆様のご感想>

  B. A(患者の方もしくは保健医療福祉サービス等の利用者の方)に該当する方のご家族

  • 外山先生のご講演では、“終のすまいはない”という結論でしたが、一人ひとりに合う、終のすまいを模索して、最期を少しでも善い状態で迎えられるようにしたいと思いました。(30代女性・B)
  • 自宅で親を看取るつもりが、最期になってパニックになり、結局親を病院へ送り返してしまったのが今でも悔やまれます。先生の示されたいくつかの事例を拝見し、今になってあのようにベッドを置けばよかったと思いました。次に経験するときは、今日聞いたことを参考にしたいと思います。ありがとうございました。(40代男性・B)
  • 職場が認知症専門の病院です。親の介護が必要になり、家の中をどのようにレイアウト変更していいのか考え、悩んでいるときに参加しました。我が家には続き間があり、縁側もあります。この二つを不要なものと思っていましたが、先生のお話を伺い、希望と夢に変わり、広がりに変わりました。家をどのように変えていこうか、楽しみになりました。とても参考になりました。参加してよかったです。独りで考えても広がらないものですね。(40代女性・B)

 

C. 保健医療福祉領域の専門職

  • 実際のケースやすまい、絵を用いての説明であり、とてもわかりやすかったです。支援者側の立場だと、介護者の負担とPtのADLをまず視点として持ちやすいのですが、Ptやその家族は長く過ごされる場所なので、過ごしやすい環境、外部の支援者(Dr、Nsなど)を入れやすい環境を整えることが大切なのだということがとてもよくわかりました。自分の家族も癌で亡くなったので、自分の家族環境とも照らし合わせながら聴かせていただきました。(20代女性・C)
  • 訪問に関わっているが、住環境について考えることは少なかったが、今回考える視点があることに気づきを得られた。ベッドの配置も今後は検討する視点になると思う。(40代女性・C)
  • 建築→医療という興味深い経歴、現在の医師の経験から“終のすまい”についての考察が伺え、面白かったです。人の生活というのは様々な要素から成り立っていて、まさに多職種の視点から見ることで環境へのアプローチの仕方も変わってくるのだと思いました。(20代女性・C)
  • 日頃、業務に携わっている中でモヤモヤしていることを明らかにしていただき、スーッとしました。ご本人の価値観を尊重し、環境整備することは難しいものです。(40代女性・C)
  • 療養室、その空間のとらえ方など、とても新鮮で気づきがとても大きかったです。在宅に関わる中で、さらに幅広く考えられるのではないかと思います。ありがとうございました。様々な分野の方の視点がとてもおもしろかったです。(20代女性・C)
  • 自宅でもない病院でもない施設でもない、もう一つの我が家として、ホスピスをさいたま市に作るため、動いています。ただ実際は、なかなか物件が見つからず困っています。終のすまいとしての場を作りたいという思いの前に、建築基準法が大きな壁になっています。いい方法がないか??(50代女性・C)
  • “快適”という部分を考えることがなかったため、明日から意識してみたいと思います。今までと視点が違って見えるかなと思いました。ありがとうございました。(20代女性・C)
  • 訪問リハとして、仕事をしています。最期をむかえるにあたっての本人の希望、家族の負担のバランスが崩れたとき、何を優先させるのか悩む場面が多々あります。多くの立場、職種の方が参加されており、ディスカッションで様々な意見を聞くことができ、有意義でした。現場で抱えている課題やアナログ的に解決しているところを、今後医療職以外とも共有していけるとより良くなっていくのではないかと感じました。(30代女性・C)
  • たいへん分かりやすく、聞きやすく、面白いお話でした。私は訪問でリハビリをしている立場なのですが、いろいろと厳しい条件がある中でも利用者さんやご家族が大切にしたいことをしっかり聴取して、一緒に考えていこうと思います。ありがとうございました。(30代女性・C)
  • 実際の在宅療養のケースで実際の住まいの見取り図や絵で説明があり、非常にイメージしやすく、療養の場を考えるよい機会になりました。病気や家族の状況による療養室のあり方の違いなどもイメージできました。実際に訪問診療を行っている医師の経験と、建築学の知識を融合させてのお話に感銘を受けました。在宅療養や在宅看取りには、“すまい”、“療養室”のあり方は、大事な要素であることを改めて感じました。また、多職種連携にてこの問題を考えることが必要だとも感じました。(40代女性・C)
  • 医師という立場で建築学的なアプローチや視座から一人の人間の最期について考えていらっしゃる外山先生のプレゼン、非常に面白く、新しい視点をいただきました。(30代女性・C)
  • 終のすまいはないのではとの最後のパワーポイントがとても心に残りました。療養の場、それをどう考えていくのか、これからとても重要と思いました。病院から退院された方がその自宅が療養の場にふさわしいか、誰も認識していないことが悲しくなりました。ありがとうございました。(60代女性・C)
  • とても重いテーマです。その重さに向き合っていることにリスペクトです。最後の「終のすまいは存在しない」、同感です。高齢化の時代において、考えておくべきテーマです。そうは言っても答えの出せないテーマでもあり、そこで向き合うことが大切なのだと、今はそうとしか言えません。事前知識を持つ、心の準備というか、このような機会を増やすというか。(30代男性・C)

 

C. 保健医療福祉領域の専門職 & D. 建築領域の専門職 

  • ハウスメーカーから家を提供するところから「終のすまい」、「生活住宅」という考え方、未来のすまい方を提示することも必要だと思いました。(20代男性・CD)
  • 私はもともと看護師をしていましたが、昨年やる気だけを武器にリフォーム業に転職しました。そこでありがたいことに、これから在宅介護を行うに向けたリフォーム工事のご依頼をいただき、メラメラといいリフォームをしたいという気持ちでいろいろな情報を集めている中でこの講演を見つけました。今回、本当に多くの気づきをいただいたのですが、その中でも続き間の可能性に魅力を感じました。私の会社ではマンションリフォームが多く、スペース的には苦労する場面があるのですが、マンションでは比較的多く、続きの間があり、今回のリフォームもその空間をキモにしたいと考えておりました。限られた環境でも、自分なりに可能性を広げていきたいと感じました。(20代女性・CD)

 

E. 連携大学の教職員

  • 自分は田舎での生活が長く、家の構造には不便を感じていた。一生の生活スタイルを考えていた。空間だったことをはじめて感じました。葬儀も自宅で行い、近所の方たちに見送られ、生活の一部として幼い頃から経験してきたことが貴重だったことを感謝することができました。(50代女性・E)
  • すまいと在宅医療との関係についてわかりやすく説明していただき、非常に有意義な機会となりました。ありがとうございました。(30代女性・E)
  • 日本工業大学で教員を務めながら、建築設計を行っています。教育の場では、スキルとして居宅介護のための改修を教えなくてはという雰囲気がありますが、今日のお話を聞いて、やはり個々のケースを的確に把握し、声を聞く能力がとても重要と感じました。また、都心部で縁側付きの住宅を作っていきたい!ぜったいやろうと思いました。(30代女性・E)
  • 「終のすまい」は存在しないというのは印象的であり、その通りだと思います。“終”ということだけでなくても、住居は人のライフサイクルによってどんどん変わるものだと思うので、いろいろなことを考えるきっかけになったと思っています。地域には終末期ではない人たちも多く暮らしているので、そのようことも頭の片隅に置きながら、柔軟に考える必要があると感じています。(40代男性・E)
  • 例としてがんの患者さんの一体型を多く見せていただいた。もしかしたら日本型の在宅ケアはこのタイプが多いのかもしれないと思いました。(外国との比較はできないのですが…)あと、持ち家なのか、借家なのかでも異なるのかなと思いました。(50代男性・E)
  • フレキシブルに変化できる「すまい」は理想的だと思うが、今ある住宅(20年前のニュータウンや30年前の団地)にお住いの方にどのように対応していくかが直近の課題であると思う。(40代男性・E)
  • いずれ訪れる親の看取りについて勉強できたらなと参加しました。実家は30年前に建てられた一戸建てです。居間の横に広い和室があり、そういえば新築で入居したとき、「ここでお葬式するのね」なんて言っていたことを思い出しました。まずは和室と居間片付けが課題。親もいつまでも元気でいて欲しいですが、いずれ来ますからね。(40代女性・E)
  • 自分の両親が対象となった場合、どういうことに気を付ければ快適性、利便性などが保てるか考えるきっかけとなりました。もし自分が「終のすまい」をセッティングするならどういうことを配慮すれば家族にも迷惑をかけずに過ごせるかなと考えることができた。(30代男性・E)
  • 医療と建築の両面からすまいを考えるときに様々な視点があることを知ることができ、とても勉強になりました。また。ディスカッションも多職種の方の意見を伺うことができ、よかったです。多職種間でも活発にこのような議論がもっとでき、より良い埼玉県になればと思いました。(20代女性・E)
  • 日本人の伝統的な住まい方を改めて考えてみたいと思いました。(40代男性・E)
  • 具体的な事例を紹介しながらのご説明、且つ事例ごとに問題点、考慮すべきテーマが明確で分かり易かったです。機能的な合理性とともに、個人の生活スタイルを維持することの重要性と両立させることの難しさを考えさせられました。(40代男性・E)
  • 実際の患者様のデータを用いた話があり、イメージしやすかった。終のすまいがないことや、絶対的に快適な住まいは人によって違うことを改めて実感できた。個人個人が快適に過ごせる住環境を提供できるようにいろいろな選択肢を持ち、視野を広げることの大切さを学生に伝えていきたいと考える。(30代男性・E)
  • 最後のスライドで突然のようにショックが走った。先生は死を迎える、空間の必要性を感じておられる。私は長年ネパールで仕事をしてきた。当地には死の待合室がある。火葬場の前に設けられ、死ねばここで火葬され、ガンジス河へ向かい、天に昇ることを認識し、心安らかに死を迎える。よりより死を迎える空間が必要になると思う。(60代男性・E)
  • 在宅療養の住まいの状況を事例を通して具体的にお示しいただきました。がんと非がん患者の特徴も興味深かったです。終の住まいというのはないという説明も納得でした。ありがとうございました。(60代女性・E)
  • 私には単身で遠方に住む母(80歳)がいます。今はまだ元気なのですが、いずれはADLが低くなると思います。外山先生のお話は、その時に向けて非常に参考になりました。ちなみに父は癌で亡くなりましたが、その時非常に大変であったことを思い出しました。私の専門は情報工学です。(50代男性・E)

 

 

F. E以外の大学の教職員

  • 終の住まいのあり方、改めて考えられた貴重な時間でした。保健医療福祉サービスだけではなく、こうした環境が大事だということを知り、より様々な職種の連携が必要だと実感しました。会場に様々な職種がいらしたことも新鮮でした。(50代女性・F)
  • 医学も建築も専門家でおられ、たいへん新しい視点をいただきました。ありがとうございました。(50代女性・F)

 

 

G. 連携大学の学生

  • 自分の職業だけ目を向けていては気づけないような視点からのケアが多くあり、とても有意義な時間を過ごすことが出来ました。ディスカッションでも多職種の方がいろいろな方向から質問・感想を述べていて、自分の中の視野が広がったような感覚を受けました。また、機会がありましたら、ぜひお話をお聴きしたいと思いました。(20代男性・G)
  • 私が今回のお話を聞いて感じましたのは、医療と建築がコラボレーションするのではなく、それぞれは生活を行うという領域内で同じステージ内にいるのではないかと気付かされました。(20代男性・G)
  • 私は今、卒業研究で「特別養護老人ホームの建築設計における傾向と課題」について、勉強しています。今日の勉強会で何かあればと思い、参加致しました。特養においても、終のすまいの考えはとても大切なことで、設計段階で取り組んでいけたらなと思いました。卒業研究、今日のテーマを踏まえつつ、研究を進めていこうと思います。(20代女性・G)
  • 高齢社会を迎えている日本において、在宅で生活することの大切さ、それと同時に難しさを感じられました。ただ、その中でも実例を通して未来に(現在にも)応用できる方法を示していただけてたいへん為になりました。(20代男性・G)
  • 間取り図や各症例の自宅のスケッチが美しかった。(20代男性・G)
  • 貴重なお話、ありがとうございました。知らない方面のことが分かりました。(20代女性・G)
  • 多職種の交わりは、介護者、患者だけでない、いろいろな方面から視野を広くもって、生活しやすい環境を考えるのはすごく難しいことなんだなと思いました。いろいろな専門家の方からの質問も、聞いていていろいろな発見ができて、おもしろかったです。(20代女性・G)

 

 

H. G以外の大学の学生

  • 建築のことをしっかり分かっている方が、療養環境について、語られているので、本当に本当に視点が斬新で面白かったです。これぞ、学際研究!!これぞイノベーション研究!!今後も、超期待しております!!!(40代男性・H)
  • 療養室の移動など、新しい視点のお話が聴けて、よかったです。全体ディスカッションの時間が設定されていて、よかったと思います。(30代男性・H)
  • 建築と医療の両方からアプローチをしている外山先生の実体験による話を聴けて、たいへん勉強になりました。(20代男性・H)
  • 建築学を学んでいるのですが、外山先生のお話を聞き、建築だけの知識で良い建築ができるわけではなく、医療介護等、幅広く知る必要性を再認しました。(20代男性・H)
  • 建築的分野からの医療、介護的お話が聴けて、とても興味深かったです。卒業研究の参考にさせていただきます。ありがとうございました。(20代女性・H)

 

 

I. その他 

  • 家庭の環境に合わせ、家族、患者共に一緒に歩む医療はこれからとても大切になっていくと思われます。家族は終末を迎えるとき、とても不安になっていく中、医師の言葉の重さ、対応が支えになっていくと強く感じています。(60代女性・I:訪問介護)
  • 在宅で終末期を迎える上での住居、部屋づくりの重要性がよくわかりました。(50代女性・I)
  • 先生の考える住環境、間取りはどのような物が理想かお聞きしたかった。訪問しているとこんなところでよく生活できているというようなお宅も多い。(60代女性・I)

 

 

以上です。

実りある勉強会となりましたことについて、ご講演くださった外山先生ならびに、ご来場くださった皆様に改めて感謝申し上げます。

なお、アンケート回答者及び、「掲載して構わない」とされた方の人数(属性別)は以下の通りです。

 

 

属  性

回答者

掲載可

A

患者の方もしくは保健医療福祉サービス等の利用者の方

0名

0名

B

Aに該当する方のご家族

3名

3名

C

保健医療福祉領域の専門職

21名

14名

D

建築領域の専門職

3名

1名

E

連携大学の教職員

20名

15名

F

E以外の大学の教職員

2名

2名

G

連携大学の学生

11名

7名

H

G以外の大学の学生

5名

5名

I

その他

6名

3名

 

【複数回答】B.およびC.

1名

0名

 

【複数回答】C.およびD.

2名

2名

 

合計

74名

52名